Mt.Goxの信用リスク尺度

Mt.Gox(マウントゴックス)のビットコイン引き出しは再開されないまま。Mt.Goxの顧客は同社の動きを待つしかない。

周知の通りMt.Goxでのビットコイン価格は2月5日の900ドル台から下落基調で推移。2月16日には200ドル割れをうかがう水準まで下落したが、その後は300ドル手前でのもみ合いが続いている。

Mt.Goxでのビットコイン価格の下落は、ビットコインの引き出し不能を背景としたMt.Goxの顧客による換金売り。他取引所でのビットコイン価格は600ドルを超えており、ビットコイン価格の急落はMt.Goxの中だけといえる。

ビットコイン価格の急落をみて、一部ブログは

「私の言った通りだろう」

と嬉しそうにビットコイン価格の下落を紹介している。これ幸いと、ビットコインの流動性の薄さやマイナーによる認証プロセスの脆弱性を非難する論調のブログも増えている。

ただ、こうしたブログは、他者からの耳目を引く対象(たとえばビットコイン)を、もっともらしい理屈で否定することはできても、社会に対し新たな価値を提供することはできない。彼ら彼女らは、ブログのアクセス(PV)を増やしたいからと、注目を集めるビットコインを今後も取り上げるだろうが、そんな方々のブログを読んだところで読者が得られるものは何もない。むしろ、こんなブログを読むことで、誰もが多少なりとも備えている僻み根性が増長されるリスクが高まる。ブログを読むことで得るものがないどころかマイナス効果が植えつけられてしまう。こんなブログは無視した方が人生にとって有益だ。

今後、Mt.Goxのシステムトラブルが解消されれば、Mt.Goxでのビットコイン価格は少なくとも他取引所と同水準に反発することが予想されるだけに、Mt.Goxに対する不信感が高まっているとはいえ、投機的な買いが入りやすいのも事実。もちろん、Mt.Goxのシステムトラブルが長期化し、最終的にはMt.Goxが破綻することで顧客資産が無に帰する可能性も否定できない。

ただ、メディアなどを通じて、Mt.Goxを運営するティバンのマルク・カルプレスCEOはメディアに露出をし続けており、もはや逃げられない状態。このままMt.Goxが破綻し、顧客への資産返還が滞れば、顧客からの訴訟に発展することは確実で、カルプレス氏とすれば、訴訟リスクを回避すべく、システムトラブルの解決に全力をつくす、とみるほうが説得力があるように思える。

Mt.Goxでつけられている300ドル手前というビットコイン価格は、投機筋の思惑が錯綜する中での均衡水準とみていいのだろう。今後はMt.Goxでのビットコイン価格の上下動がMt.Goxの信用リスクを示す尺度と考えてもいいのかもしれない。
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