日本でのビットコイン産業の行方

Mt.Goxは事実上の破たん。日本のメディアは「それみたことか」と言わんばかりにMt.Goxの破たん劇を報じているだけに、ビットコインを認知している方でも、今から新たにビットコインの取引に乗り出そうともしないだろう。

日本政府・当局は、法規制の対象外という理由でMt.Goxの破たんを見て見ぬふりをする様子。被害届が出されれば、警察は動くのだろうが、他詐欺事件と同様に被害者があたかも悪いかのような扱いでMt.Gox事件を取り扱うのだろう。大変遺憾なことだが、Mt.Goxの顧客が同社に預けたビットコインや現金が早期に戻ってくる可能性は(現時点では)著しく低いと言わざるを得ない。

Mt.Goxが破たんした最大の理由として指摘されているのは同社がハッキングによって約74.4万ビットコインが盗まれたこと。盗む方法としてはビットコインの認証作業が終わる前にIDを不正利用し、架空取引を繰り返していたことが可能性が高い。

一部ブログでは、これを理由にビットコインのシステムは脆弱と断定しているが、この解釈は正しくない。本来であれば、ビットコイン取引の認証がすむまで、Mt.Gox内の口座での次の取引をブロックすることを仕様とすべきだっただけ。同社の取引ロジックが脆弱だったとみるべきだ。

ビットコインのメリットはMt.Goxの破綻によっても続いているのは事実。送金・決済スピードの迅速性や手数料の安さは引き続きビットコイン需要を下支えするだろう。Mt.Goxの破綻でビットコイン業界が消失するという見方は、センスのない考え方、もしくはビットコインの話題性に乗っかった売名行為とみて問題ない。

Mt.Goxを除く他取引所でのビットコイン価格は急回復。Mt.Goxがサイトを閉鎖した2月25日にビットコイン価格は急落したが、本日(27日)には急落前の水準をほぼ回復している。

懸念されるべきことは、おそらく今後も日本を除く世界各国ではビットコインの普及が続くと予想されるのに、日本ではMt.Gox破綻の過剰報道もあって普及が遅れること。結局、世界の動きに日本が再び乗り遅れることになり、いざビットコイン産業が世界的に拡大したとしても、日本企業の出番はない、という、いつものパターンが繰り返されることは避けなければならない。

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