ビットコインの所有と取引に関するリスク

価格変動の激しいビットコインであるが、所有と取引には思わぬところにリスクは存在する。ビットコインは仮想通貨の定義や一般の通貨との類似性に関する議論がなされているが、ネット上でそれらの論調を見ていて感じることは「果たして著者はビットコインを所有しているのだろうか?」ということだ。

ビットコインは仮想通貨であるが故に、空理空論の議論がなされやすいのかもしれないが、実際に所有や取引をしてみないことには実態のリスクはわからない。

ビットコインの所有と取引に関しては様々なリスクがある。
当情報局で確認している主なリスクは以下だ。

1.ウォレットパスワードの失念

Blockchain(ブロックチェーン)で設定したパスワードを忘れてしまうと回復することはできない。Blockchain(ブロックチェーン)ではユーザーのパスワードを保持していないからだ。パスワードを忘れてしまうと、そのアカウントに保持していたビットコインは永遠に戻ってくることはない。
 
2.Mt.Gox(マウントゴックス)のサポート

昨年秋の相場急登以降、Mt.Gox(マウントゴックス)に口座開設依頼が急増しているためだろうか?Mt.Gox(マウントゴックス)の顧客サポートは事実上機能していない。
 
サポートへメールを送っても1週間程度経過した後に、「担当部署に転送した」というだけ!のメールが送られてくるという状況である。それどころか、口座認証後の入金処理も時間がかかっているというレポートが当サイトにもあった。
 
 
また、Mt.Gox(マウントゴックス)のサイトには、ビットコインの出し入れに関しては口座認証不要とされているが、「ビットコインの預入はできてもビットコインの引出しはできない」、という報告も当サイトには寄せられている。
 
3.ビットコイン取引所が閉鎖する可能性

ビットコイン取引所閉鎖のリスクに関するレポートとしては、MooreとChristinの調査結果(Beware the Middleman:Empirical Analysis of Bitcoin-Exchange Risk:PDFファイル)が公開されている。
 
2人は世界中に存在する40の Bitcoinの取引所を調査した。その結果、40の内18の取引所はビジネスを停止。9つはハッカーや犯罪者の攻撃を受けたことが原因。そのうち5つは閉鎖に追い込まれた。残りの13は事前の予告なしに閉鎖された。

調査結果から、Bitcoinの両替所は45%の確率で失敗する可能性があるとの結論に2人は至っている。主な原因は取引所へのハッキングによるものだ。また、Bitcoinの両替所の平均的運営期間は381日間で、1年をわずかに上回る期間しかなかった。

4.マイニングによるウィルスの感染

コストを払わずに簡単にマイニングをすることでビットコインを獲得しようと思うのは間違いではないが、現実問題としてはハードルは中々高い。マイニングツールに悪質なワームウェア(ウィルスソフト)が仕込まれているという可能性には注意をはらっておく必要はある。

これ以外にも様々なリスクが存在していることは事実であり、発展期ゆえの混沌とした状況が存在していることは確かだろう。使い古された格言だが、"There's no such thing as a free lunch." だ。

ビットコイン取引所のリスクに関するMooreとChristinの論文は2013年4月に公開されたものだが、それ以降ビットコインの相場は急騰している。2013年4月時点では1BTCは50USD程度だ。現在は950USD前後を推移している。

リターンにはリスクがつきものということだろう。
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