プルーフ・オブ・ステーク(PoS)はより有価証券に近い仕組み

プルーフ・オブ・ステーク(PoS)はより有価証券に近い仕組み

先日の香港当局が発表した「有価証券と見なす」というステートメントは実に簡潔に要点をまとめてあり、そのうえで投資家に対しての注意喚起を促していた点に非常に好感を持った。そのポイントは仮想通貨、およびデジタルトークンは「株式」、「債権」、「集団的投資スキーム」のいずれかに該当する場合があり、それらはすべて「有価証券」と見なすというものだ。

このところの仮想通貨ブームもあり、実にたくさんの仮想通貨が出ているが、上記指摘の要件を満たさない代表はビットコインであるが、最近はPoS(後述)が隆盛してきているように思う。

ビットコインのブロックチェーンは、プルーフ・オブ・ワーク(Proof of WorK)で動いている。

分散管理の承認処理を「マイナー(採掘者)」と呼ばれる取引の承認者が、それぞれのコンピューター内で承認処理を行っている。マイナーはコンピューターの電気代等のインフラコストを払うことでビットコインエコシステムに貢献しながら、この承認処理を完了することで報酬をもらっている。

このプルーフ・オブ・ワーク方式では、かねがね以下が問題点として挙げられている。

1.マイナーとビットコインホルダーの間での利害関係
  (一致している場合と相違する場合)
2.マイナーの集中による中央集権化と51%問題
3.エコシステム全体での長期的な電気代、インフラ等の取引手数料の負担

仮想通貨のエコシステム全体とマイナーの利害が一致しているうちは大きな問題は発生しないが、エコシステム全体が大きくなるにつれ、コミュニティー内での合意形成が難しくなってくる。結果として発生したのが今年8月1日に起こった、「ビットコインのハードフォーク」である。

このPoW方式が内在する問題点を解消しようと考え出されたものが、プルーフ・オブ・ステーク(PoS)方式で、コインを「株式」に近いものに見立て、一定の量を持つコイン保有者の、その保有割合によってブロックの承認割合を決めるというものである。

これにより、PoWで問題とされているような、マイナーとコインホルダーとの利害関係の不一致は起こりずらくなり、エコシステム全体を維持するためのコンピューティング・ハードウェアや電気コストの問題は排除できる。(分散処理に関しては発行団体、もしくは管理財団が責任をもって行うということであろう。)

したがって、PoS方式によるマイナーは、所有コインによって同じ利益(=金利)を得ることができる。この観点から見れば、PoS方式は有価証券に近いものであると見ることができるであろう。

イーサリアムは、「スマートコントラクト」と軸にしているため、元々証券に近い特性を備えている。これに加えて、将来的にはPoS方式への移行を表明している。

PoSで運営されるネム

また、ネム(NEM)は、エコシステム全体での量が決まっており、一定量の保有割合で金利を受け取ることができる仕組みになっている。これは、ネム(NEM)がPoS方式を採用しているからだ。先日、紹介したStorJなどはまさに現在Pos方式への移行を行っており、2017年10月に移行が完了する予定である。
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